ペイウォール(オンライン記事の無料閲覧の回数に制限をかけることで、有料登録を促す仕組み)は、デジタル化するメディア業界で広く取り入れられている。そこで、ヨーロッパ6カ国(フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド)と米国の合計7カ国でのペイウォールの現状について調査を行った。以下が、調査によって明らかになった結果である。

有料購読のシステムを導入するメディアはそこまで増えていない?

今回の調査は、合計で212のニュースメディア(日刊または週刊新聞、テレビニュース、デジタル限定サービス)を対象に行われた。今回、有料の購読システム(ペイウォール)を次の3カテゴリーに分類している。無料での閲覧が全くできない「ハードペイウォール」、回数に制限がありながらも無料閲覧ができる「フリーミアム」、そして月に一定の回数まで無料閲覧ができる「計測型ペイウォール」である。

今回の調査結果によると、調査対象のメディア69%にて何かしらの有料購読システムが導入されており、これは2017年の64.5%と比べると数は劇的には増えていない。「ハードペイウォール」は、大手新聞メディアである「ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)」、「ファイナンシャル・タイムズ(Financial Times)」で採用されているが、これはほぼ稀であり、ほとんどのメディアで導入されているのは「フリーミアム」または「計測型ペイウォール」であり、それぞれ33%を占めている。週刊新聞や雑誌だけで見ると、52%が有料購読システムを導入しており、この数は2017年と比較して10%減少している。

一方でテレビ放送メディアや、デジタル限定メディアでは2017年よりそこまで変化は見られていない。すべての放送メディア(例:CNN、Fox News、英国BBC、フィンランドのYLE)では、デジタルニュースを無料で配信しており、デジタル限定メディアでも94%が、無料でコンンテンツを配信している。

全体的に見ると、半分以上(53%)のメディアが無料閲覧できるサービスを提供しており、有料購読システムから、無料にコンテンツを配信する代わりに広告収入から収益を得るビジネスモデルにシフトをしてきているのが見られる。

国別の料金比較

では、有料購読システムを導入するメディアを利用するには、どれくらいの料金を支払う必要があるのだろうか。7カ国で見られる一番安い有料購読プランで、平均月額料金が、14.09ユーロとなっており、この価格は2017年での同調査と変わっていない。月額料金は、一番安いもので2ユーロ、高いもので1.50ユーロと幅が広い。この比較材料として見るならば、Netflixの月額料金は7.77ユーロである。

国や種類によっても料金は異なる。ポーランドではもっとも安い定額プランを提供しており、月額9.72ユーロである。英国では33%だけのテレビ放送メディアが有料購読システムを採用しており、月額料金は17.45ユーロと高めである。

国ごとに異なるのは、料金だけではない。採用するペイウォールモデルも異なる。フィンランドでは、月間閲覧回数とプレミアム記事の閲覧回数に制限をかけたハイブリッド型ペイウォールだが、米国ではほとんどのメディアで計測型ペイウォールが採用されている。

また米国ではヨーロッパよりもペイウォールを導入するメディアが増加している。2017年には38%だったペイウォールを採用するメディアの数が、今回の調査(2年後)では48%まで増えていた。この増加は主に新聞会社で見られており、76%の会社が2019年にペイウォールを導入している。(同時期のヨーロッパのメディアでの数は46%である)

本調査のレポート全文(英語)はこちらから。