UberやAirbnbなどのシェアリングエコノミーサービスが世界中で人気となっている現在、多くの人にとって誰かの人の家に泊まったり、知らない人の車に乗ることに抵抗がなくなってきているであろう。

一方で服はどうであろう?誰かが着た服を利用することは、まだ多くの人にとって越えられない壁となっているかもしれないが、今後アパレル業界にもシェアリングエコノミーの風が吹くかもしれない。

英国では、 Y世代やミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)の間にて中古服をやり取りするアプリ「Depop」が流行するなど変化が見られており、アパレル業界にてサブスクリプション型ビジネスが導入されることで、服のシェアリングエコノミーが今後見られると予測される。

米国ではすでにその動きが見られている。ファッションのサブスクリプションサービス企業「レント・ザ・ランウェイ(Rent The Runway)」では月額159ドルで4着まで服をレンタルできるサービスを提供しており、2009年設立以来女性の間で人気を博している。昨年には2億ドル(約222億円)の与信枠を確保するなど、高い注目を浴びている。

英国では、同様な時期に「Girl Meets Dress」などのサービスが見られるが、まだ成長過程にある分野である。しかしWearTheWalkやFrontRowなど新しいサービスの登場により、米国のRent The Runwayが英国の市場に参入してくる前にファッションのサブスクリプションを流行させようという動きも見られている。

FrontRowでは、高級デザイナードレスを短期間レンタルできるサービスを提供している。例えば、シャネルの手袋を5日間レンタルしてロンドン中心部へ届けてもらうので150ポンドの費用である。このサービスは特に、最新トレンドに敏感なインスタグラム世代の若者をターゲットにしたものである。

一方で、WearTheWalkはRent The Runwayのサービスにもっと似ており、デザイナー服を月額定額で提供している。一回につき5着までのレンタルで月額120ポンドで利用が可能である。この多めの服を提供するという方法で、働く若者たちをターゲットとしている。

これらのビジネスは、若者の間で見られる「所有するよりも多くのものにアクセスできる」ことに価値を置くトレンドが、今後主流の消費者行動になっていくと考えている。

また、現在若者の間では「サステイナブルファッション」を選ぶ傾向が見られており、安い服を買うよりも、製造・販売の過程で環境問題や労働問題、社会問題に配慮したファッションに価値を置く人が増えている。

その証拠に消費者調査のデータによると、サステイナブルファッションを選ぶミレニアル世代の若者が73%に上ることがわかっている。

またアパレル業界にシェアリングエコノミーが普及することで、小さなブランドでも今後多くの消費者に服を試してもらえる機会が増えるようになる。これは大手ブランドに独占されたアパレル業界に新しい変化をもたらすと考えられている。またこの変化は、ランウェイや写真撮影に使われるような高級ブランドの服を、大金を払うことなく、誰でも着て楽しめる時代がくることも意味している。

しかしこのアパレル業界のシェアリングエコノミーの一番の壁となるである要素が、どうやって消費者に誰かが着た服を着ているという意識を変えられるかにある。アパレルに関しては、どうやって提供する商品の衛生さを保つかが今後の課題と言えるであろう。

消費者の不安を払拭するため、服のレンタルサービスでは試行錯誤が繰り広げられている。中国のアパレルサブスクリプションサービスを提供する「YCloset」では、国内インフルエンサーJiang Chachaを起用して、その衛生さを発信している。そのプロモーション動画では、Jiang Chachaは服を洗濯するためのスチーム機に使われる水を飲むなど、その徹底された衛生管理をアピールしている。