New York Times紙やワシントンポスト紙など大手出版企業が、デジタルサブスクリプションモデルの導入によりデジタルへのシフトを見せるのに対し、地域新聞のシアトルタイムズ紙もその流れに追いつこうとしている。

デジタルで成功を収めるNew York Timesは、昨年で全体のサブスクリプション売上が10億ドル(約1130億円)を超え、デジタルだけで260万人以上のサブスクリプション会員を獲得している。デジタルサブスクリプションだけの売上は、第二四半期で9900万ドル(約110億円)を占め、前年比で見るとほぼ20%の伸びを見せている。

その他にも、先月にロンドンタイムズ紙、サンデー・タイムズ紙が50万人の会員獲得を達成し、初めて紙面会員の数を超えたと発表している。同じようにワシントンポスト紙や英紙ガーディアンもデジタルでの売上が増えており、紙面の売上よりもその勢力を伸ばしている。

そんなトレンドの中、リソースも読者数も限られる地域紙にとって、デジタルへの転換は難しいように思われるものの、シアトルタイムズ紙はその予想を覆す成功事例を出している。

シアトルタイムズ紙は、有料会員だけアクセスできるコンテンツの閲覧制限を2013年より導入を始め、じわじわとその有料会員数を伸ばし現在3万6千人を獲得している。このコンテンツ閲覧制限が有料会員の獲得を促す第一要因となっているが、その他にもニュースレター、コンテスト、選挙アプリなどを活用することで会員の維持と新規会員獲得を狙っている。

ニュースレターを使った戦略は導入から間もないにも関わらず、有料会員の獲得に大きく貢献していると言う。現在、会員はデイリーニュースや食事、レストラン情報など7種類のコンテンツをニュースレターで受け取ることができる。

そしてシアトルタイムズ紙では、ニュースレターへの登録を促進するためアグレッシブな手法もとっている。例えば、サイトに訪れるとニュースレター登録を促すCTA(コール・トゥ・アクション)が至る所で見られる。バナーや、記事内での告知、ポップアップバナーなど、様々な手段にて試している。現在ニュースレターのリストは18万3千人以上まで伸びているという。彼らの狙いは、このニュースレターなどの方法で読者に何度もコンテンツを読んでもらい、無料会員の閲覧制限回数にたどり着かせることで、有料会員登録を促すところにある。

また、シアトルタイムズ紙では有料会員の離脱を防ぐために様々な手法を取っている。例えば、公式Facebookページへの登録を促したり、サイト内での広告ブロック解除を促したり、コメントの機能を活用したりしている。特にこのコメント機能は、読者のエンゲージメントを高めるためには大事な機能の一つで、無料会員であってもコメントをするにはサイト登録を必要とすることで会員登録者数を増やすことにも役立っている。

タイムズ紙のチャン氏は次のように述べている。「市場調査データから、読者はこのコメント機能を重要視していると言う結果が出ている。そのため、今後もハイクオリティーのコメント機能の導入を検討している。またコメント荒らし対策も今後の課題である」

以上の戦略や手段を過去数年のうちに導入し、質のいいコンテンツ作りと読者とのエンゲージメントに励むことで、シアトルタイムズ紙はサブスクリプションビジネスで成長を見せている。これは今後地域紙がデジタルシフトするときにお手本になるような、先行事例になったと言えるであろう。