定額制サービスを意味する “サブスクリプション” は、音楽、動画、映画など様々なエンターテイメント業界で使われているビジネスモデルだ。しかし、「電子書籍」のサブスクリプションサービスはそこまで人気を集めていない。

電子書籍定額読み放題サービスといえば、2013年に「Oyster」がローンチされ、その他にも「Scribd」が知られている。しかし、SpotifyやNetflixと比べると、そこまで爆発的な人気ではない。アマゾンの「Kindle Unlimited」も似たサービスだが、登録者数は公表されておらず、予想では300万人前後としている。これは、Spotify(1億1,300万人)やNetflix(1億5,800万人)と比べると、そこまで大きなユーザー層ではない。一方で、「Oyster」は2015年に閉業をしている。

電子書籍が、サブスクリプションサービスの展開に成功できない理由には、大手出版社からの全面な協力がないことが挙げられる。米国では、”Big 5” と呼ばれる5つの大手出版社が市場を独占しているが、出版社は著作権を保持していない。著作権は、著者にあることもあり、アマゾンやBarnes & Noble (バーンズ・アンド・ノーブル)、楽天Koboなどのチャンネル以外を通して、出版社が積極的にサブスクリプションサービスを展開できないようになっている。

たとえ、大手出版社が電子書籍のサブスクリプションに乗り出したとしても、1つの出版社からの提供書籍数は不十分である。だからこそ、5大出版社が協力して立ち上がることが必要となる。または出版社ではなく、アマゾンのような大手テック会社がテクノロジー技術でこの分野に参入できる可能性は大いにある。

以下は、電子書籍のサブスクリプションビジネスに興味を持ち始めている(持ち始めてもおかしくない)、大手テック会社である

  • Spotify:Spotifyは、音楽ストリーミングサービスでAppleやGoogle、Amazonと戦っている。その中でも、Spotifyは大手ポッドキャスト配信サービスとして、Appleの次に競争力を発揮している。電子書籍の読み放題サービスを始めたとしてもおかしくはない
  • Walmart (ウォルマート):ウォールマートは、アマゾンに対抗するため、2018年にカナダの電子書籍サービス「楽天Kobo」と提携を行っている。楽天Koboは昨年に、定額制サービス「Kobo Plus」をヨーロッパ諸国でローンチしたこともあり、ウォールマートは本サービスの提供範囲を拡大することが容易になると予想される
  • Apple:Appleでは、電子書籍サービスを2012年から提供開始している。これまでに、Appleは音楽ストリーミングでSpotifyに並ぶほどの規模感に成長することに成功している。電子書籍には音楽ほど力を入れていないが、力を入れ始めれば市場を圧巻する可能性は大いにある
  • Tencent (テンセント):中国の大手テック系は、中国を超えてゲームサービスやモバイル支払いのWeChat Payサービスを拡大させている。中国ではすでに音楽ストリーミングサービスを展開しており、中国の電子書籍プラットフォーム「China Literature」も所有している

最大級の電子書籍を、無料で取り揃えている場所もある。それが「図書館」だ。実際に、KKR & Co. Inc. (コールバーグ・クラビス・ロバーツ)はこの図書館向けサービスに投資を行っており、図書館向けの電子書籍サービス「OverDrive」を日本の楽天から買収もしている。