スイスに本拠を置く主要ドイツ語日刊新聞「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(Neue Zürcher Zeitung:NZZ)」では、独自のアプローチで定期購読者数を5倍に伸ばすことに成功した。

NZZは、スイスでのデジタル新聞の消費が限られていることから、大手New York Timesのようなペイウォール(無料閲覧回数に制限をかけて、有料登録を促す仕組み)を導入しても、十分な売上を見込めないと考えた。

実際にペイウォールを2012年に導入をしているNZZは、定期購読のコンバージョン率は0.5%に止まり、ファン層だけが有料定期購読者になり、実際のユーザーには響かなかったという。

そこでNZZは独自のシステムを2015年に導入した。NZZは、ユーザ個人ごとにニュースを読む行動を観察し、ユーザーの所在地データと合わせて、ユーザー個人に合わせた記事を表示することで有料定期講読への登録を促した。

ユーザー個人のニュースを読む行動には、ユーザーが読む記事の数、記事のカテゴリーなどが分析の対象となった。

この新しい仕組みを導入して以来、コンバージョン率はすぐに1.2%までの向上が見られた。そして「オススメ記事」の表示パターンなどのテストを重ねることで、コンバージョン率は2.5%まで飛び上がったという。

ユーザーがコンバージョンに至るパターンを分析することで、NZZは以下の消費者行動パターンを発見した。

  • 土曜日には売り文句のプロモーションを行わない
  • プロモーションの割引率をあげると、ほとんどのユーザーが次の日の朝に定期講読に登録する
  • 地元のニュースや金融関連のニュースは、昼食時によく読まれる
  • 1年から1年半前からサイトに登録している人の方が、定期講読の登録率が高く、高い値段設定でも登録する

これらのユーザーの行動パターン情報を元に、ZNNでは3つのサービスの提供を開始している。

  • ユーザーのサイト訪問過去データを元に、カスタマイズされた日刊ニュースリスト
  • ユーザーが日中に逃したニュースをまとめた、午後6時以降の夕刊ニュースリスト
  • ユーザーが時間がなくて読めなかったニュースをまとめた、カスタマイズされた週刊ニュースリスト

ユーザーに合わせたサービスの提供で、ユーザーの心をつかんだZNNは、解約率を抑えながら、コンバージョン率5%を目指している。