スウェーデンの最大メディアグループの一つである「シブステッド(Schibsted)」は、有料会員コンテンツ提供から15年が経つが、百万部の発行・デジタル定期購読者獲得をしており、売上の40%をデジタルが占めている。

シブステッドには2020年までに、全体の定期購読ビジネスから約130億円の売上を生み出すことを目標としているものの、デジタルでの解約率が9%と高く、課題となっている。

シブステッド社のプロダクトマネジャー代表のシャスティ氏は「私たちは購読者獲得からお金を生み出しているのではありません。継続して購読者になってもらうことからです。」と述べる。「毎月マイナス9%から始まります。これよりも上ることもあります。私たちは購読会員に、無料コンテンツよりお金を出す価値があるものと継続して感じてもらう必要があります。」

継続して会員になってもらうため、シブステッド社では読者が解約するタイミングを探り、どういうトピックの記事なら読者が興味を示し有料会員を継続するか考えた、カスタマージャーニーの構築に力を入れている。

スウェーデンの新聞で5万7千人のデジタル会員を持つスベンスカ・ダーグブラーデットの調査によると、定期購読を申し込むきっかけになるようなコンテンツ(例:世界のニュースなど知りたくなるコンテンツ)は、会員が継続する理由になるコンテンツ(例:アートレビューなど知っててお得なコンテンツ)とは全く違うことが分かった。その結果を元に、スベンスカでは一つのコンテンツに対し、2つの違う分野の編集者が担当する体制をとるようにしている。

例えば、スウェーデンの住宅市場に関して、経済的な視点で書いたコンテンツはビジネス部門で作られ、心理的な視点で書いたコンテンツは文化部門で作られることになる。これを実施した結果、人気記事の数が毎年2倍になるという結果を収めた。

また、シブステッド社のBtoCビジネス代表のボード氏によると、最初に2ヶ月分以下の購読料金を払った人の方が、3ヶ月分以上払った人よりも解約率が2.5倍高くなるという。「購読開始から最初の100日が重要です。今年で私たちはこの最初の段階のサービス向上のため40ものテスト改善を行いました。」

「鮮度・頻度・ボリューム」の3つが、定期購読申し込みや解約を決める大きな要素であり、多くの定期購読ビジネスを行う出版社と同様に、シブステッド社も読者が解約してしまわないよう、メールを送るなどしてコミュニケーションをするなど、適切な方法を試行錯誤している。

例えば、特定の日に解約を決めている人には、その日の前に定期購読の延長をディスカウント価格でオファーしている。他にも、会員に緑や黄色、赤などのフラグをつけて、カスタマーサービスがその色に応じてオファーを変えられるようにしたりもしている。このように解約のフローの中にコミュニケーションを追加しつつも、しすぎないことで、10~15%の会員の解約を阻止することに成功している。

「シブステッド社では、会員のライフタイムバリュー(LTV)に注目しています。解約を阻止できるような特効薬はありませんが、もっとデータに基づいて改善を重ねることで、ユーザーにお金を払う価値があるサービスと思ってもらえます。今後の出版社の成功を決めるのは、この精神を会社全体が共有し、同じ目的のもとに協力し同意できるかどうかにかかっています。」