「誰でもお尻を拭くだろう?しかもトイレットペーパーを無料でもらえて、それで地球が救えるなら欲しくない人なんていないでしょ!」そう語るのが、スタートアップ「Better Planet Paper」のCEOスコット・クフス氏である。

商品購入につき1本の木を植えるという自然保全のミッションのもと、トイレットペーパーのサブスクリプション型ビジネスを展開している。米国では毎年6800万本の木が、紙の製造のために切られており、1人平均で1,000パウンドもの紙が年間に消費されている。

また、このビジネスはとてもユニークなきっかけで始まった。

肛門科医と美容師がトイレットペーパーを友達に売って、借金返済に当てるというストーリを映画の脚本用にクフス氏が書いて、映画スタジオに提案していた時に、ある社長に言われた「いつかそんなビジネスを誰か作ればいいのに」という冗談から始まったのである。

冗談の内容を真面目に受け取り、実際にオンラインで調べてみたクフス氏は、無料でトイレットペーパーを自宅まで届けることがビジネスとして成立するという確証を得て、このアイデアを映画にするのではなく実際に会社を立てることに踏み出たのである。

消費者が普通のブランドの商品を選べば森林伐採を加速するのに対し、「Better Planet Paper」を選ぶ消費者がもっと増えれば地球を救うことができるとクフス氏は考えている。

クフス氏がスタートアップ企業として成功を収めるために、最初に様々なユニークな手法を取っている。下記がそのうちの5つの主要な成長戦略である。

①社会的使命を伝える

Better Planet Paperから商品が購入される度に木が1本植えられ、森林伐採を防ぎ、長期的に環境保全を行う取り組みを行っている。

またクフス氏は「Taller Tree Foundation」を設立し、四半期ごとに売り上げの一部を植林活動団体に寄付を行ったりするなど、植林活動を推奨している。

②リファーラルマーケティング

友達紹介制度をリファーラルと呼ぶ。Better Planet Paperではサービスを紹介した2人の友達分のディスカウントを用意している。そして3人紹介した場合には、無料でトイレットペーパーを受け取ることができる。また紹介した友達の人数によっては、会社の売上の一部の配当を受け取ることができるなど、金銭的報酬もある。

③ユーザー生成コンテンツ「UGC」の活用

Better Planet Paperではユーザーのクリエイティビティを育て、共にサービスの認知度向上に繋げている。毎月ユーザーから音楽やストーリー、詩、写真を応募し、その中から一番クリエイティビティに富んだものを選んで、SNSで世界中にシェアしてもらっている。応募者の中では、この取り組みを通して音楽をiTunesやiHeartRadioで流すことに成功した人もいる。

④地域団体とのパートナーシップ

Better Planet Paperの自然保全ミッションをもっと知ってもらうため、地域団体と連携をしている。最初のパートナーはフロリダ州の「Keep Seminole Beautiful」で、彼らのビジネスを「Paper with a Purpose!(ミッション・目的のあるペーパー)」として宣伝した。その宣伝から売り上げがあった場合には、その一部を団体に支払っている。これは非営利団体にとっては、とても有難い機会である。

⑤ゲーム的要素を加える

Better Planet Paperは2018年にモバイルアプリをローンチしている。このアプリでは、これまでどれくらいの森林を救ったか、そして友達紹介で救うことができた木の本数などをビジュアルで見ることができる。

またこのアプリを通して、もっとユーザーが自然保全の活動に引き続き従事し、SNSでシェアできる機能などを加える予定である。

クフス氏はこのビジネスコンセプトを基に、100万ドル(約1.1億円)ほどの資金調達に成功しており、すでに250%のビジネス成長も見せている。

クフス氏にとってこのビジネスはただ成功や収益のためというよりかは、お金を最も効果的な方法で使って「どう大きな変化を社会に起こすことができるか」であると考えている。

もしBetter Planet Paperが「セコイアの木(世界一巨大な木)のような成長」を遂げることができれば、10年の間に1億本の木を植えることができると予測されている。